子どものトピックス TOPICS

小児アレルギーについて

●即時型食物アレルギー
原因となる食べ物を摂取後2時間以内(多くは食べた直後30分間)に起こるものを言います。赤ちゃんから大人まで幅広い年代で現れます。

<原因>
低年齢:鶏卵、牛乳、小麦など
学童期以降:そば、ピーナッツ、木の実類など

<症状>
じんましん、咳き込み、ゼーゼー、腹痛、嘔吐、血圧低下など


●食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎
生後3ヵ月頃までに顔面から始まるようなアトピー性皮膚炎の症状がみられる赤ちゃんでは、食物アレルギーを合併していることがあります。約30%の児は離乳食開始後に即時型へ移行していきますが、大部分は自然に治ります。

<原因>
鶏卵、牛乳、小麦など

<症状>
生後2、3ヵ月頃より顔面のかゆみを伴う湿疹から始まり、よくなったり悪くなったりをくり返すのが特徴です。


●食物依存性運動誘発アナフィラキシー
主に学童期以降にみられるアレルギーで、特定の食べ物を食べてから数時間以内に運動をすると症状が現れるもので、比較的まれな疾患です。(中学生1/5,000人、小学生約1/20,000人)

<原因>
小麦・甲殻類など

<症状>
全身のじんましんやむくみ、せき込み、呼吸困難などが現れ、進行が早く、約半数は血圧が低下してショック症状を起こします。

●口腔アレルギー症候群
生の果物や野菜を食べたあとにアレルギー反応が起こるものです。小児から成人まで幅広い年齢層に起こりえます。缶詰やジュースなど加熱処理してあれば症状なく摂取できることが多いです。

<原因>
シラカバの場合、りんごや洋梨、ももなど(シラカバやハンノキなどの花粉のアレルゲンと似た構造のたんぱく質を持つ果物)

<症状>
りんごやもも、洋梨など生の果物や野菜を食べたときに、口の中やのど、耳の奥などにかゆみや痛みを感じる。


●新生児・乳児消化管アレルギー
主に粉ミルクに牛乳の含まれるたんぱく質によって起こるアレルギーです。
このアレルギーが起こったらすぐにご相談ください。

<原因>
粉ミルク、母乳などの牛乳のたんぱく質を含むものや稀に米、大豆、小麦にも同様の症状が出ます。
<症状>
粉ミルクなどの飲んだ後、24時間以内に嘔吐や下痢、血便などの症状が起きます。
<治療>
治療の基本は原因となっているものを最小限に除去してアレルギー反応を起こさないようにすることですが、最近ではアレルギーとなっている食物を少しずつ摂取しながら負荷試験などを行う経口減感作療法があります。(経口減感作療法をご希望の患者様は、提携医療機関をご紹介させていただきます。)

●アトピー性皮膚炎
<原因>
汗や衣類の摩擦などによる刺激
ダニ・花粉・ペットなどアレルゲンの侵入

<症状>
病変部位は年齢や人それぞれで異なりますがおでこや目のまわり、首、わきなど関節の内側などに出やすいです。
乳児期:顔面・頭部に湿疹、かゆみ、赤みがある皮膚など
幼児期以降:体や手足など広範囲に湿疹、かゆみ、赤みがある皮膚など

<治療>
アトピー性皮膚炎の治療はスキンケアを基本としステロイド外用薬を使用することが中心となってきます。ステロイド薬を塗らない日は保湿薬(プロペト、ヒルドイドなど)を続けていくことで、再燃を予防できます。

<スキンケア>
毎日入浴して石鹸で洗い、入浴後5分以内に保湿剤を塗る
(洗うときはゴシゴシこすったりしない、症状が強いときは石鹸は使わずお湯あらいする。)
チクチク、ゴワゴワする服は着ない。
室内を清潔にし、適度な温度と湿度を保つ。
爪を短く切り、引っかかないようにする。 など


●気管支喘息(喘息)
<原因>
アレルギー体質の遺伝、ダニなどのアレルギー、ウイルスの感染などです。
発作の原因としては風邪などの感染症、たばこの煙、気温や湿度といった環境変化、運動負荷、ストレス、ハウスダストなどがあります。
また、春や秋など特定の季節に症状がひどくなる場合もあり、花粉の関与も指摘され患者数は年々増加しています。

<症状>
乾いたせきが断続的に続いたり、主に夜間から明け方にかけての呼吸困難が特徴です。
また気道粘膜が過敏になることで、運動や大きな声を出した時など、いろいろな刺激により発作が起こります。
症状が持続することで、体育などの学校生活が困難となったり、睡眠を確保できなくなることさえあります。
アレルギーによる気管支の炎症が固定化すると、成人喘息へと移行してしまうため、早めに治療を開始することが大切です。

<治療>
気道の炎症や過敏な状態を抑えるために、医師と相談しながらステロイド薬の吸入や抗アレルギー薬の内服を定期的に行います。
発作にはせき止め・たん切りの内服や気管支拡張薬の吸入・貼付が有効です。
同居の方に喫煙者がいらっしゃる場合は、速やかな禁煙が必要になります。
成人喘息への移行を防ぐためには、適切な治療を十分な期間受けることが大切です。