子どものトピックス TOPICS

「2024.9月感染症情報」

アデノウイルス感染症

【どんな病気?】
小児の発熱疾患の5〜10%を占める.咽頭結膜熱(プール熱)
流行性角結膜炎,出血性膀胱炎以外に全身に様々な症状を起こす.
2歳未満集団生活では感染リスク高い.1年中認め,プール熱は夏に多い.
6%は他のウイルス感染症と同時感染.

【病原体】
アデノウイルス(60種類以上ある)

【感染経路】
飛沫感染,糞口感染,接触感染(人体外では1週間生き残る)

【潜伏期(感染〜発症までの時期)】
5〜6日(2日〜2週間)

【症状】
発熱,咳,鼻水,咽頭痛(小児扁桃腺炎の主な原因)
かすれた声,嘔吐,下痢(1〜4歳の5〜10%)
腹痛(腸間膜リンパ節炎,急性虫垂炎に似て腸重積の原因にもなる)
だるさ,筋肉痛,頭痛,耳痛,目の充血,発疹など様々.

【診断】
抗原キットが有用(精度90%以上)だが必ずしも必須ではない.

【経過】
通常5〜7日で自然軽快(2週間以上症状が続くこともある).
1歳未満は中耳炎,2歳未満は肺炎などの細菌感染症を合併しやすい.
免疫の低下した小児(がん,心疾患など)は重症化リスク高い.
稀だが髄膜炎,脳炎,肝炎,心筋炎,腎炎,好中球減少症なども発症.
塩素消毒の不十分な場合,プール熱(咽頭結膜炎).
流行性角結膜炎(医療機関で流行する可能性あり).
出血性膀胱炎は男児に多く,熱を伴わないことが多い.
最近では小児の原因不明の急性肝炎との関連が示唆.

【治療】
基本的には対処療法

【予防】
アルコールでは死滅しない.次亜塩素による消毒が必要.石鹸による手洗
い,マスク着用.感染者の吐物,便を扱う場合は使い捨ての手袋使用.ウイルスは
痰中に3〜5日,便中に8〜12日(数週間〜3か月以上も).

【登園登校基準】
咽頭結膜炎:症状消失後2日経過.
流行性角結膜炎:伝染の恐れがないと医師が判断するまで.