●高血圧
高血圧とは最高血圧と最低血圧の両方、またはどちらか一方でも、基準値以上の状態が続くことをいいます。高血圧は、自覚症状はほとんどなく、治療を受けずにそのままにして、知らないうちに症状が進行、悪化しているケースが多く、最悪の場合、死にまで至る生活習慣病です。
<症状>
自覚症状がないことがほとんどですが、頭痛や耳鳴り、動悸、肩こりなどが現れることもあります。このような症状がある場合は疾患がかなり進行している状態と考えられます。
高血圧によって引き起こされる疾患は下記になります。
脳:脳梗塞、脳出血、くも膜下出血
心臓:狭心症、心筋梗塞、心肥大、心不全
腎臓:尿蛋白、慢性腎臓病(CKD)、腎不全
その他:大動脈瘤、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)など
<基本的な治療>
高血圧の治療方法は、その状態に応じて段階的に進められます。基本は食事療法と運動療法ですが、それだけで改善されない場合、薬物療法を併用します。
<食事療法について>
まずは1日3食で決まった時間に食事をするようにしましょう。また、満腹になる手前の腹八分目を心掛けることも大切です。満腹になるほど食べ続けると肥満や動脈硬化などのリスクがあります。間食は基本的に食べない方がいいですが、チョコレートやケーキ、スナック菓子といったものよりも和菓子の方がおすすめです。和菓子の場合は脂肪分が含まれていないことが多いのとあずきなどは健康にも良いと言われていますが食べ過ぎには注意しましょう。それ以外ですとバターや油、生クリームなどが含まれていないものを食べる様にしましょう。
また、塩分を控えたりすることと血圧を下げる効果のある食材(ニンニク、オリーブオイルなど)を取り入れることも必要になってきます。
<運動療法について>
運動の頻度はできれば毎日定期的に実施できるもので、運動量は30分以上(1日)、強度は中等度(ややきつい)の有酸素運動がおすすめです。
有効的な有酸素運動はウォーキング(速歩)・軽いジョギング・水中運動・自転車・その他レクリエーションスポーツなどがあります。
運動量は30分以上が目標ですが1回の運動量が10分以上であれば合計30分以上になるよう分けて行っても大丈夫です。
また、運動療法をするにあたって始めることが難しいようであれば、掃除や洗車、買い物に行くなどの生活活動の中で身体を動かすことを増やすことから始めましょう。
<薬物療法について>
血圧を下げる薬(降圧薬)を服用することがほとんどですが、合併症があるかないかなどの状態により個別に処方いたします。自分勝手な判断は避けていただき、正しく、きめられた量を飲むようにしましょう。
●脂質異常症
血液中の脂質の値が基準値から外れた状態を、脂質異常症といいます。
トリグリセライド(中性脂肪)が多い高中性脂肪血症、LDLコレステロールが多い高LDLコレステロール血症、HDLコレステロールが低い低HDLコレステロール血症があり、3つのうち1つでも当てはまると、脂質異常症としています。
脂質異常症は動脈硬化の主要な危険因子であり、放置すれば脳梗塞や心筋梗塞などの動脈硬化性疾患を引き起こす原因となります。
<症状>
脂質異常症は自覚症状がほとんどなく、血液検査で初めてわかることがほとんどです。
遺伝によって起こる家族性高コレステロール血症ではアキレス腱肥厚、腱黄色腫、と呼ばれるコレステロールの塊がかかとの上にできることがあります。
<基本的な治療>
基本は食事療法や運動療法による生活習慣の改善で、不十分な場合に薬物療法も合わせて行います。
<食事療法について>
脂質異常症のタイプによって食事療法のポイントは若干異なってきます。
基本は1日の摂取するエネルギー(カロリー)量を適正にすることと炭水化物、脂質、たんぱく質、コレステロール、食物繊維、アルコールなどの摂取量を適正にすることが重要になります。
それでも改善がみられない場合は、必要に応じて禁酒、糖質の摂取量をさらに制限するなどのご指導を致します。
<運動療法について>
運動はトリグリセライド(中性脂肪)を低下させ、HDL(善玉)コレステロールを上昇させる働きがあります。運動内容は無理のない軽い運動(有酸素運動)で1日30分以上で週3回以上を目指して行っていきます。
有効的な有酸素運動は、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などです。
<薬物療法について>
食事療法や運動療法で生活習慣の改善を続けても、検査値の値が改善されない場合に薬物療法も合わせて行います。