子どものトピックス TOPICS

こどもの予防接種について

定期接種

<五種混合 DPT-IPV-Hib(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、インフルエンザ菌b型)>

当院では、2ヵ月からロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、五種混合との同時接種をおすすめしています。


①ジフテリア
ジフテリア菌がのどなどについて起こる病気です。この菌は、ジフテリア毒素を大量に出して、神経や心臓の筋肉を侵します。熱が出ますが微熱の場合もあります。のどの奥が白く見えることもあります。のどの炎症がひどく、空気の通り道がふさがることで、そのために死亡することもあります。また神経の麻痺が起こったり、心臓の筋肉に炎症が起こったりして死亡するケースが、現代の欧米でもみられます。

②百日咳
百日咳菌と呼ばれる細菌がのどなどについて起こります。感染力が強く、子ども同士や大人からもまた、大人へも感染します。最初は鼻水とせきで、かぜと区別がつきません。そのうちに特徴的なせきが出てきて、そのせきの続く時間が長くなります。ひどくなると、息が出来ないくらい咳が続きます。その症状が23ヵ月続くことから、「百日咳」と言われています。乳児期早期では息を止める無呼吸発作からけいれん、呼吸停止となったり、肺炎や脳症を起しまれに亡くなることもあります。

③破傷風
破傷風菌が、傷口から入って体の中で増え、筋肉をけいれんさせる破傷風菌毒素を大量に出すために起こる病気です。傷の大小にかかわらず起こります。けがをしてしばらくすると、顔の筋肉を動かしにくくなり、引きつった顔になり、口が開けにくくなってきます。その後全身の筋肉がいっせいに縮んで、けいれんが起こります。意識は侵されることがないので、大変痛く苦しい状態です。人から人へうつる病気ではありません。

④ポリオ
神経が侵されて筋肉が麻痺する病気です。人の便の中に排泄されたポリオウイルスが人の口から入り、腸の中で増えることで感染します。成人が感染することもありますが、乳幼児がかかることが多い病気です。日本では自然感染による患者発生はありませんが、一部の国では今でもポリオの流行があり、いつ国内に入ってくるかわからないのでワクチン接種は欠かせません。

⑤ヒブ(インフルエンザ菌b型)
脳や脊髄を包んでいる髄膜に細菌やウイルスが感染して炎症が起こる病気が髄膜炎です。髄膜炎のなかでも、細菌が原因で発症する「細菌性髄膜炎」は、早期診断がとても難しく、治療後の経過が悪く後遺症が残るなど特に問題となる病気です。「Hib」と呼ばれる細菌による細菌性髄膜炎(ヒブ髄膜炎)は、5歳未満の乳幼児がかかりやすく、特に生後3ヵ月から2歳になるまではかかりやすいので注意が必要です。

一度でも4種混合とヒブを接種された方は五種混合は接種できません

<小児用肺炎球菌>
肺炎球菌は通常、鼻などに保菌していますが、抵抗力がある場合、何の問題も起りません。しかし小さな子どもは肺炎球菌に対する抵抗力をもっていないため、比較的簡単に肺炎球菌に感染してしまいます。感染の箇所によって、「中耳炎」「肺炎」「菌血症」「細菌性髄膜炎」などを発症します。子どもの肺炎球 菌感染症は、子ども用の肺炎球菌ワクチンで予防できます。

2ヵ月の誕生日から開始して、4週(中27日)間隔で3回受け、1歳を過ぎたら追加接種を1回受けます。2ヵ月でB型肝炎ワクチン、五種混合(DPT-IPV(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、インフルエンザ菌b型))との同時接種で7ヵ月までに最初の3回接種が終わると早く抗体(免疫)ができるので、より望ましいです。

BCG
結核菌による髄膜炎や肺結核を防ぐための予防接種です。先天性免疫不全症の赤ちゃんには接種できません。生後5ヵ月~7ヵ月の期間に1回接種。接種時期は、五種混合もしくは四種混合3回受けた後の生後5ヵ月ごろが最適です。

MR(麻しん風しん混合)>
【麻しん】
麻しんウイルスによって起こる、感染力の大変強い病気です。約10日の潜伏期の後に、熱、鼻水、せき、目やになどが出ます。発熱34日目から体に赤い発疹が出てきます。一般的には高熱が710日続きます。合併症も大変起こりやすく、気管支炎、肺炎、脳炎などを起こす場合があります。
国の定期接種は生後12ヵ月からで、1歳代と、小学校入学前の2回、麻しん・風しん混合ワクチンを受けましょう。ただし、地域で大流行している時は生後6ヵ月からの接種が勧められることがあります。

【風しん】
ウイルスによって起こる病気です。約23週間の潜伏期の後に熱が出て、首のリンパ節が腫れます。熱と同じ頃に体に赤い発しんが出てきます。発熱するのは34日間ですが、熱の出ない人もいて、多くの場合はかぜ程度の症状です。妊娠初期の女性がかかると、お腹の子どもに影響が出る場合がありますので、注意しましょう。
国の定期接種は生後12ヵ月からで、1歳代と、小学校入学前の2回、麻しん・風しん混合ワクチンを受けましょう。両親もワクチンを受けていない場合や、抗体がなくなっていれば必ずワクチンを受けてください。

<日本脳炎>
日本脳炎ウイルスに感染している豚を蚊が刺し、その蚊が人を刺すことによって感染します。かかっても多くの人は症状が出ませんが、一部の人に脳炎が起こります。養豚場の多い地域は注意が必要だといわれています。
1
期は、6ヵ月~75ヵ月までの間に3回の接種。1回目を接種後14週間空けて2回目を接種し、約1年後に追加接種を1回受けます。
2
期は、9歳~12歳に1回接種します。

<水痘(みずぼうそう)>
水痘帯状疱疹ウイルスによって起こる病気です。感染力が強いです。生後6ヵ月から4歳頃の乳幼児に多いですが、それ以外の年齢でもかかります。保育園での感染も多いです。ふつう23週間の潜伏期の後に、熱が出て、体に虫さされのような赤い斑点が出てきます。1日くらいでそれが水ぶくれになり、強いかゆみとともに全身に広がります。熱は数日でおさまり、水ぶくれも黒いかさぶたがつくようになり、7日くらいでおさまります。脳炎や肺炎、皮膚の細菌感染症などの合併症にも注意しましょう。
定期接種では1歳以上3歳未満(3歳の誕生日の前日まで)で受けます。流行しそうなときは必要に応じて1歳前でも接種することがあります。

<流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)※一部補助あり 自治体により自費になる場合があります >
おたふくかぜウイルスによる感染症です。23週間の潜伏期の後に、まず唾液腺(特に耳下腺)が腫れます。はっきりしたしこりではありませんが、周囲の人が見ると腫れているのに気がつきます。反対側が腫れることもあります。熱がでることもあります。合併症として髄膜炎(脳を包む膜の炎症)があり、発熱、強い頭痛、嘔吐がみられます。 また約2万人に1人に難聴が起こり、両方の耳が侵されることもあり、完治することが困難といわれています。その他に、膵炎(膵臓の炎症)、睾丸炎、卵巣炎や、脳炎を起こし障害が残ったり死亡することもあります。1歳になったら接種することができます。

B型肝炎>
B
型肝炎ウイルスは、出生時から乳幼児期に感染すると長らく肝臓にすみつき、肝硬変や肝がんを起こすことがあります。それ以降の年齢では一過性に感染し肝炎をおこし、時に重症化することがあります。
B
型肝炎ウイルスは母子感染や輸血だけでなく、知らない間にキャリアになった家族などからの感染もめずらしくありません。3歳未満で感染すると慢性化しやすくなります。早く接種すれば将来の肝硬変、肝がんを予防できます。
ワクチンは生後2カ月から接種を始めるのがおすすめで、ロタウイルスワクチン 、五種混合ワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、などとの同時接種も可能です。

<ロタウイルス>
ロタウイルスにより、水のような下痢やそれに伴う嘔吐がおこる「ロタウイルス胃腸炎」は、体内の水分と塩分を失い、脱水症状をおこします。
ワクチン接種により、感染を予防したり、症状を軽くしたりして、点滴や入院が必要になるほどの重症例を減らしたり、脳炎などの重い合併症も防ぎます。

<子宮頸癌(けいがん)>
ヒトパピローマウイルス(HPV)が、性的接触により感染して起こります。女性の50%以上が一度は感染します。子宮頸癌の他に、肛門癌、膣癌、尖圭コンジローマ等の発生に関わっています。近年若い女性に増えており、日本では年間に約1.1万人が子宮頸癌にかかり、30歳代までに約1,000人の女性が治療で子宮を失っています。また年間約2,900人が亡くなっています。2女子クラスに1人くらいが発病する計算で、亡くなる人は10クラスに1人ほどになります。ワクチンにはサーバリックス、ガーダシル、シルガード9があり、前2者は子宮頸癌の原因の5070%を、後者は8090%を防ぎます。公費での接種対象は小学校6年生から高校1年生相当年齢の女子です(平成1942日から平成2041日生の方は、通常の接種対象の年齢を超えても、令和7331日まで接種できます)。また定期接種の機会を失った方に対する公費接種として、令和441日から令和7331日の期間限定で、平成942日から平成1941日生の方で接種を3回完了していない方も対象となります。



●患者様ご負担の場合の予防接種料金表(1回分)
※2024年4月から料金を変更させていただいております。
※費用は全て税込みとなります 。

種類 自費になる年齢 金額
 BCG  1歳以上  10,500円
5種混合
(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ・インフルエンザ菌b型)
 <DPT-IPV-Hib> 
7歳6ヵ月以上 19,700円
 4種混合
(ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ)

 <DPT-IPV>
 7歳6ヵ月以上  10,200円
 3種混合
(ジフテリア・百日せき・破傷風)

 <DPT>
 生後2ヵ月〜  4,800円
 2種混合
(ジフテリア・破傷風)
<DT>
 13歳以上  4,200円
 ヒブ  5歳以上  8,000円
 小児肺炎球菌  5歳以上  12,700円
 不活化ポリオ  7歳6ヵ月以上  8,800円
 MR2種混合
(麻しん・風しん)
 1回目:2歳以上
 2回目:小学校1年生以上
 8,500円
 水痘(みずぼうそう)  3歳以上  8,300円
 日本脳炎  1期初回~1期追加:7歳6ヵ月以上
 2期:13歳以上
 6,500円
 B型肝炎  1歳以上10歳未満(1回0.25㎖)  6,000円
 10歳以上(1回0.5㎖)  6,500円
シルガード
(子宮けいがん)
   33,000円
サーバリックス
(子宮けいがん)
   17,000円
ガーダシル
(子宮けいがん)
   17,000円