子どものトピックス TOPICS

「2025.6月感染症情報」

感染性胃腸炎

【どんな病気・症状、原因】
何らかの病原体によって引き起こされる、胃腸症状を伴う疾患の総称です。胃腸症状は、嘔気・嘔吐、下痢、腹痛などです。
発熱を伴うこともあります。原因の大半はウィルス性であり、ロタウィルス、ノロウィルス、アデノウィルスなどが原因となります。以前は冬季に流行がみられましたが、最近は一年中みられるようになり、ここ1-2ヶ月ほどの間にも胃腸症状を訴える患児を散見します。また、細菌性胃腸炎は病原性大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクターなどが原因となり、腹痛や下痢、血便などの下部消化管症状が中心となります。
【感染経路】
ウィルス性胃腸炎の主な感染経路は接触感染であり、胃腸炎の患者(感染源)に直接触れたり、胃腸炎の患者が使用したもの(タオル、コップなど)に触れることによって感染します。
また、ノロウィルスや細菌性胃腸炎は、病原体が直接口から体内に入ることによって感染します(経口感染)。
ノロウィルスは牡蠣などの貝類の摂取によって感染を起こし、細菌性胃腸炎はいわゆる食中毒となります。
【治療】
ウィルス性胃腸炎の治療は対症療法が中心となり、特異的な治療(特効薬)はありません。
細菌性胃腸炎も、抗生剤を投与することもありますが、治療の中心は対症療法です。
嘔吐・下痢によって、水分と電解質が失われ、脱水となります。適切に水分と電解質を補う必要があります。
イオン飲料、経口補水液などを活用し、こまめに少量ずつ水分摂取してください。
胃腸炎の程度次第ですが、入院を要さない程度の症状なら、児が摂取できるもの(食べたいもの)であれば、少量ずつ摂取させてもよいでしょう。ただし消化の悪いものは避けてください。
胃や腸がダメージを負っていますので、水分や食べ物を多量に摂取することで、胃腸に余計な負担をかける可能性があるので注意が必要です。水分摂取ができない、もしくは下痢や嘔吐の程度が強い場合、絶食で完全に胃腸を休める必要があり、入院となる可能性があります。
【感染対策】
感染対策として、食事の前や排便の後などは、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
胃腸炎症状のある児とタオルやコップなどを共用することを避けましょう。胃腸炎症状のある児の便や嘔吐物の処理を行う際は、使い捨ての手袋やマスクを使用しましょう。
ロタウィルスワクチンは定期接種のワクチンで、標準的には生後2ヶ月から2-3回経口接種します。
ワクチンの効果は大きく、すべてのロタウィルス性胃腸炎を約80%予防し、予防効果は2-3年続きます。